2018/08/25 日本経済新聞電子版で、「バフェット流割安株運用の受難 一部成長株に資金集中」とのタイトルの記事が掲載されました。
米著名インベスターであるウォーレン・バフェット氏に代表される「バリュー投資」は、「運用常識」となっているわけですが、資産運用の成績が以前と比べふるわないと指摘しています。
背景としては、世界的な低成長・低金利とデジタル革命が併存する経済のありようが市場構造を変えている。
バリューインベスターの、さわかみ投信の草刈貴弘取締役最高投資責任者(CIO)は、違う方法を模索しなくてはと、苦しげに語っています。
独立系投信の草分けで、会社の価値よりも株価が下落したときに買い、持ち続けることで高いリターンを上げる割安株への運用を得意としてきましたが、その名をとどろかせたのは1990年代後半のIT(情報技術)バブル期です。
ネット関連株の高騰を尻目に仕込んだ重厚長大の株がバブル崩壊後に見直され、他のファンドを圧倒する成績を上げました。
バフェット氏が師と仰ぐ「割安株の父」、ベンジャミン・グレアム以来の黄金律です。
それが今は通用しない。さわかみは割高だが将来性がある「グロース(成長)」株運用も始め、インターネット専業ライフネット生命保険など赤字の企業にも手を伸ばす。
日興リサーチセンターによると大型株対象の日本株投信のうち、今年上半期運用成績は、バリュー株は、マイナス5.6%と、成長株のマイナス2.4%の成績でした。
17年もプラス25%と31%の成長株運用に負けていました。
割安株の業績が悪いわけではなく、ホンダや三菱商事は過去最高益なのに株価はリーマン・ショック前を下回る。株価が利益の何倍かを示すPER(株価収益率)は共に8~10倍とリーマン前の15倍前後から低下しており、市場の評価が下がったことがうかがえる。
なぜ「常識」が通じなくなったのか。「低成長、低金利がマネーの流れを変えた」(ゴールドマンのキャシー・松井チーフ日本株ストラテジスト)との見方があります。
先進国の潜在成長率はリーマン前の2%強から1%台半ばに低下し、金融緩和のなかで景気の波も小さくなっています。
景気の底で買って、その後の循環的な回復で大幅な上昇を狙うような割安株運用の魅力は薄れた、マーケット全体が、加熱気味もしくはフェアバリューのレンジにあるということかもしれません。
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