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会社は株主のモノ、社長より偉いのは株主である。
昨年から何かと話題になっているLIXILグループですが、昨年の突然の社長解任、創業家の復活事件より、株価が20%程度下落しており、ガバナンス不全を訴え、株主団が、創業家である社長に対し解任を突きつける騒動となっています。
社長の解任請求を行うには、臨時株主総会で決める必要があり、臨時株主総会開催の請求をできるのは、計3%を保有する株主がそろえば可能となります。
今回解任のための臨時総会開催を要請した株主は、
英投資会社マラソン・アセット・マネジメント、
ポーラー・キャピタルなど複数の機関投資家
です。
マラソンAMは、世界で活動する機関投資家で、日本での運用は、約1兆6千億円ありJR西日本などへの実績がある大手機関運用家でプロ中のプロです。
創業家の潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)らの退任を株主提案することが19日明らかになっており、臨時株主総会の開催と経営陣の刷新を求めています。
2018年秋のCEO交代人事の経緯が不透明で企業統治に問題があると主張している。
焦点となっているのは瀬戸欣哉社長がCEOを退任し、取締役会議長だった潮田氏が会長兼CEOに、社外取締役だった山梨広一氏が社長にそれぞれ就任することを決めた人事です。
機関投資家の複数の幹部などによると、今回は5社程度による共同提案。合計のLIXIL株の保有比率は不透明だが、「実質的に3%を超える」ようです。
機関投資家が配当や取締役の選任を求める事例は多いわけですが、現経営陣の刷新を求めるのは非常に珍しいことです。
LIXILの外国人株主比率は約40%と比較的高いことから、
株主価値を向上させることができない、説明責任を果たせない経営陣には厳しい審判が下される
と思われます。これら株主の動向に注目です。
ご参考までに、会社法では3%以上の議決権がある株式を6カ月以上保有する株主は株主総会の招集を求めることができます。 6月には定時株主総会があるため、臨時総会を開催しなくても、定時でNOを突きつけることもできますが、Time is Money、価値の棄損リスクがあるのに、指をくわえて待っているわけにもいかず、今回の臨時株主総会の開催を要求し、早期決着を図ったと思われます。
4~5月の臨時株主総会を想定されますが、LIXILは25日に定例の取締役会を開き、臨時株主総会の開催の是非を議論する可能性があります。
LIXIL取締役会が臨時総会はコストがかかるわけで、開催に反対し招集手続きをしない可能性もあります。
その場合は、総会の招集許可を裁判所に申し立てることができ、裁判所の判断にゆだねられる可能性があります。 総会での役員の解任案の可決には過半数での決議が必要となります。
過去にはアデランスホールディングスや学研ホールディングスなどで、株主が経営トップの退任を求めた事例がありますが、
会社は株主のものであり、株主にとっての価値を上げられなければ、
社長含め経営陣はNOといわれる
典型的な例で、この動向により価値にも影響を与えると思われます。
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