賢いインベスターになるための隠れた常識③
~投資で一番大切な20の教え-賢い投資家になるための隠れた常識
このタイトルのシリーズの初回では、運用の原則は、「安く買って、高く売る」ということに尽きること。多くの方が、目先の株価変動に目が行ってしまい、感情の赴くまま売買していることがあり、ギャンブルに陥っている点を説明しました。
2回目では、もう少し、ギャンブル運用について仮想通貨の事例も交え説明しました。
今回の3回目では、投資とは何かの復習、再認識のため1冊の本をご紹介したいと思います。
バリューインベスターであるハワード・マークス氏の「投資で一番大切な20の教え-賢い投資家になるための隠れた常識」です。
この本は、バリュー投資アカデミーの塾生、セミナー参加者にもご紹介している投資の良書です。
この本が凄いのは、あのバフェットが、「極めて稀に見る、実益のある本」だと、大絶賛している点です。
バフェットは著者に対し「君が本を書くなら、必ず推薦文を寄せる」と日頃から本の執筆を促していたようです。
出来上がった本書をバフェットは読み、大変に気に入り、バークシャー・ハザウェイの株主総会で配布したほどです。偉大なるインベスターが認める投資哲学を学べる本です。
投資において最も重要なのは、株式市場というスーパーマーケットで売られている「価格」と、本来の「バリュー」の違いを見抜くことです。
この本には、20個の運用に関する重要な考え方が述べられています。
その中でも特に前半に集中しているのが、価格とバリューです。
特に前半ほど、運用家として、重要な要素が書かれていますから、読み始めから引き込まれるでしょう。
また、先ほども指摘したように、インベスターは心理的影響から愚かな投機家に変貌しやすいです。人間であり感情に左右されがちな生き物である宿命ではありますが。
市場では頻繁に価値の過大評価や過小評価が発生します。本源的価値を大きく上回ったり、下回ったりするのは心理的要素が株式市場に悪影響を及ぼすためです。
そのようなリスクを回避するために必要な考え方、心得もこの本から学ぶことができます。
なぜそのような心理状態になりやすいのかも改めて認識させられる1冊です。
また、市場の心理的影響がミスプライシングを形成し、運用する側にとっては、逆にチャンスとなる逆張りの根本的な考え方もこの本から学ぶことが可能でしょう。
ただ、注意して頂きたい点としては、こうした割安株や心理で大きく上下する状況下で逆張り投資をするとしても、それは今流行りのスイングトレードとは全く違うという点です。
スイングトレードはテクニカル分析が主体ですが、バリューにフォーカスするものではないトレードの手法であり、運用手法では決してありません。
トレードとは単なる売買であり、スイングトレードは手法なのであって、運用の手法ではないです。
要は簡単にいうと単なるギャンブルであり、競馬予想をしているにすぎません。
そもそも運用とは、本源的価値であるバリューを先ず、見極めなければならないため、ファンダメンタルズ分析、将来見通しが必要不可欠となります。
もちろん、運用も現在のバリューには着目することもあるかもしれませんが、完全に違う点は、
『本源価値であるバリューと比較しているのか?』
です。
繰り返しになりますが、投資の本質、神髄は、現在のバリューに着目することであり、テクニカルを主体にするトレードするために価格に着目するのとは全く意味が違うのです。
そもそもトレードと投資の違いもわかってない個人インベスターは多いですが、それは単に運用とは何か?を知らない、学んだことが無いだけの話だと思っています。能力の問題でもありません。
心理を見抜くトレードを完全否定するつもりはありません。
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